最近の音声信号処理遊びの進捗
hello
遡ればもう約一年まえになるでしょうか、統計的声質遊びをしたいと思い、理論の勉強を始めたり、(特にJuliaで)コードを色々書いていました(お前ほんといろんな言語で遊んでるな、というツッコミはさておき)。統計的声質変換クッソムズすぎワロタ(チュートリアル編) - LESS IS MORE を書いていた当初は、当然自分のためだけに書いていて、まぁアレな出来でしたが、最近気を取り直して多少マシに仕上げましたので、何となくブログに書いてみようかなーと思った次第です。というわけで、最近公式に登録したいくつかのパッケージを、まとめて簡単に紹介します。
主な改善点は、windowsもちゃんとサポートするようにしたこと(誰得?)と、テストをきちんと書いたことと、julia的なインタフェースを意識するようにしたことですかね。3つ目はかなり曖昧ですが、まぁ気持ち使いやすくなったと思います。
パッケージ
- MelGeneralizedCepstrums.jl: メル一般化ケプストラム分析
- SynthesisFilters.jl: メル一般化ケプストラムからの音声波形合成
- SPTK.jl: SPTKのラッパー
車輪の再発明はできるだけしたくなかったので、最初のほうはCライブラリのラッパーを書くことが多く、windowsとかめんどくさいしunix環境でしか動作確認してませんでしたが、WindowsのJuliaから呼べるようなCライブラリの共有ライブラリ(DLL)を作る | qiita 重い腰を上げてwindowsでも動くように頑張ったことがあり(めんどくさいとか言って手を動かさないのホント良くないですね)、登録したパッケージはすべてwindowsでも動くようになりました。めでたし。WORLD.jl もwindowsで動くようにしました。
MelGeneralizedCepstrums.jl
メルケプストラムの推定とか。いくつか例を載せておきます
詳細はこちらのノートブックへ
メルケプストラム分析、メル一般化ケプストラム分析に関しては、SPTKの実装をjuliaで再実装してみました。結果、速度は1.0 ~ 1.5倍程度でおさまって、かつ数値的な安定性は増しています(メモリ使用量はお察し)。まぁ僕が頑張ったからというわけでなく、単にJuliaの線形方程式ソルバーがSPTKのものより安定しているというのが理由です。
SynthesisFilters.jl
メルケプストラムからの波形合成とか。
詳細はこちらのノートブックへ。いくつかの音声合成フィルタの合成音をノートブック上で比較することができます。
mixed excitation(っぽいの)を使ったバージョンのノートブック: 実装に自信がないので、そのうち消すかも。聴覚的にはこっちのほうが良いです。
SPTK.jl
公式のSPTKではなく、僕が少しいじったSPTK(windowsで動くようにしたり、APIとして使いやすいように関数内でexitしてた部分を適切なreturn code返すようにしたり、swipeというF0抽出のインタフェースをexposeしたり、など)をベースにしています。
MelGeneralizedCepstrums.jl と SynthesiFilters.jl は、ほとんどSPTK.jlで成り立っています。本質的に SPTK.jl にできて MelGeneralizedCepstrums.jl と SynthesiFilters.jlにできないことは基本的にないのですが、後者の方が、より簡単な、Julia的なインタフェースになっています。
例えば、メルケプストラム、ケプストラム、LPCなど、スペクトルパラメータの型に応じて、適切なフィルタ係数に変換する、合成フィルタを選択するなど、multiple dispatchを有効に活用して、よりシンプルなインタフェースを提供するようにしました(というか自分がミスりたくなかったからそうしました)。
おわり
かなり適当に書きましたが、最近の進捗は、Juliaで書いていたパッケージ多少改善して、公式に登録したくらいでした。進捗まじ少なめ。あと些細なことですが、ipython(ijulia)に音埋め込むのクッソ簡単にできてびっくりしました(なんで今までやらなかったんだろう)。@jfsantos に感謝